新しい地図を手に入れたぞ、と知り合いのザングースであるアトラから手紙が届き、地図を見せてもらうついでに遊びに行くことにした。 その地図は俺が持っているものよりも明らかに扱いやすいものに見えたが、その中に見慣れない地名があることに気付いた。 アトラに尋ねる。
「この街の名前……何て読むんだ? ティー、エー、アール……」 「タルモ、だな。 最近できた…… とは言っても5年ほど前だが、まあこの辺では一番新しい街だ」 「ちょっと気になるな。 行ってみるかな……」 「それはお勧めしない」 「なぜ?」 「知り合いに、数ヶ月前にタルモに移り住んだゾロアークが居るんだが、そいつが『この街はひどく排他的だ』と」 「排他的? じゃあそのゾロアークも歓迎されていなかったんじゃないか、そっちの街では?」 「いいや。快適でいい街らしい」 「ますます意味が分からない。 俄然気になってくるよ」 「じゃあそのゾロアークに伝えておくよ、旅行希望者がいるって。 そいつがお前のガイドになるだろう」 「ガイド付きか…… 出来るなら自由に観光したかったが、特殊な街のようだから仕方がない。 よろしく伝えておいてくれ」 「あぁ」
アトラの家を後にして、早速旅行の準備を始める。 数泊を予定して必要なものを揃え終えた翌日、再びアトラから手紙が届いた。 準備が出来たようだ、荷物を持ってこっちまで来い。
「手紙にも書いたが、相手の準備が出来たらしい。タルモの入口で待っているそうだ」 「そうか。 丁度自分も準備が出来たし、行ってみるよ」 「気をつけてな。 帰ったら街の様子を教えてくれよ」 「言われなくてもそうするさ」
タルモまでの道のりを示したメモを受け取って、出発した。 早歩きで2時間ほど。 アーマーガアタクシーなどを利用すると早いのだが、俺としてはなるべく歩きで目的地まで行きたい考えがある。 よほどの急用でない限りは使うことはないだろう。
遠くに街並みが見えはじめてから到着まで、あまり時間は掛からなかった。 街の入り口に到着した。 ゲートには“タルモ”と書かれている。 ゾロアークを探すために辺りを見回す。
「(えーっと、ガイドのゾロアークは…… 何処だ? ……あっ、あそこに)」
偶然に視線が合い、ゾロアークがこちらまで歩いてきて声をかけてきた。
「あ、もしかして……?」 「そうだ。 “旅行希望者”としてやって来たルカリオのレストだ。 よろしく」 「ゾロアークのトーラです。 この街をガイドさせていただきます。 こちらこそよろしくお願いします」